クレタ文明最大の遺跡、クノッソス宮殿。紀元前2000年頃にミノア人によって造られた宮殿跡です。
長いこと神話上の存在と考えられていましたが、イギリス人の考古学者によって発掘され、実在していたことが証明されました。
伝説の迷宮クノッソス宮殿と、考古学博物館に行ってきました。
クノッソス宮殿はどこにある?
クノッソス宮殿があるのは、ギリシャの離島クレタ島。
クノッソス宮殿は、クレタ島最大の街イラクリオンにあります。
考古学博物館で予習
クノッソス宮殿に行く前に、考古学博物館で予習することにしました。
博物館があるのはイラクリオンの中心地。イラクリオン空港から街まで高速バスKTELで10分、バス停から博物館まで徒歩10分でした。
赤い柱が印象的な建物。
ここで博物館とクノッソス宮殿の共通チケットが購入できました。値段は16ユーロ(3日間有効)。
共通チケットを購入したら、クノッソス宮殿に行くまで失くさないよう気をつけましょう。
博物館は二階建て。
1階はクレタ文明の展示です。
クノッソス宮殿で発掘された壺やアクセサリーを見ることができます。
クレタ文明の壺。
クレタ文明は、ヨーロッパ最古の文明のひとつです。芸術が盛んで、古代エジプトとの交流もあったようです。
ミノアの品は、海をモチーフにしたものが多いくて素敵。明るく開放的な雰囲気は、今のギリシャに通じるものを感じます。
装飾品も、おしゃれなものばかり。今でも充分通用しそう。
そして海のデザイン以上に多いのが、牛のモチーフ。
ギリシャ神話には、こんな話があります。
昔、海の神ポセイドンは、クレタ島のミノス王に美しい雄牛を与えました。
王はそれを生贄として捧げる約束をしましたが、次第に手放すのが惜しくなり、こっそり別の牛を生贄にします。
怒ったポセイドンは、王の妻が怪物を産むよう呪いをかけます。
こうして産まれたのが、体は人間、頭は牛の怪物ミノタウロスです。
困ったミノス王は迷宮を作り、そこにミノタウロスを閉じ込めます。そしてミノタウロスの食料として、アテネの若い男女を生贄として捧げるようになりました。
その噂を聞きつけ、ミノタウルス退治に乗り出したのが、アテネの英雄テセウス。自ら生贄に志願し、クレタ島にやってきます。
ミノス王の娘アリアドネは、そんなテセウスに恋をします。アリアドネはテセウスに糸玉を渡し、糸を迷宮の入り口から垂らし続け、迷子にならよう助言しました。
テセウスは、迷宮で遭遇したミノタウロスを倒し、入り口から垂らしたアリアドネの糸を辿り、無事に脱出しました。
この話の舞台と言われているのがクノッソス宮殿です。
宮殿の復元模型。この複雑さが、迷宮の神話を生んだのでしょう。
3000年の時を経て、クノッソス宮殿を神話から現実の世界に蘇らせたのは、イギリスの考古学者アーサー・エヴァンズ。
エヴァンズは、発掘だけでなく遺跡の復元も行いました。
証拠が少ない中、憶測で進めてしまった部分も多く、遺跡をコンクリートで固めるなど、大掛かりに手を加えました。
クノッソス宮殿が世界遺産に登録されないのは、そういった問題があるからかもしれません。
今は誰も読めなくなってしまった古代文字。
エヴァンズがクノッソス宮殿で発掘したものの中には、線文字A・Bと呼ばれる古代文字の石版もありました。
そのうち線文字Bの解読に成功したのが、マイケル・ヴェントリス。
ヴェントリスは、14歳の時に美術館で偶然出会ったエヴァンズから、クノッソス宮殿の話や、そこで発掘された古代文字が未解読であることを聞き興味を持ちます。
その後、学業や仕事の傍ら、個人的な関心から古代文字を調べ続けます。そして何と30歳の時に、独学で線文字Bの解読に成功しました。
しかしその4年後、ヴェントリスは亡くなってしまいます。線文字Aは、現在も未解読のままだそう。
2階は、クノッソス宮殿の壁画(本物)や、ミケーネ文明と古代ローマの展示でした。
意外と規模が大きくて、じっくり見てたら2時間くらいかかりました。
営業時間: 8時~20時(冬は15時まで)
クノッソス宮殿の行き方
クノッソス宮殿は、イラクリオンの中心地から少し離れたところにあります。
街中からはバスで1本。乗車時間は30分ほどです。クノッソス宮殿行きに乗り、終点まで乗っていれば着くので簡単です。
バス停の場所がわからないので、考古学博物館の人に聞いてみました。博物館の向かい側の、薬局の前あたりでした。
この看板が目印。ここでバスを待ちます。
バスの本数は多いようで、少し待っていたらすぐにやって来ました。
クノッソス行きは2番バス。行き先に「2 KNOSSOS」と書いてあるバスが来たら乗り込み、終点まで乗っていれば到着です。
片道2.5ユーロ。支払いはバスに乗ってからで大丈夫です。
バスの景色がイラクリオンの大都会から、荒涼とした大自然に変わったらあと少し。
終点でバスを降りたら、クノッソス宮殿までは歩いてすぐ。
ここが入り口。
人数が集まれば英語のガイドをつけることもできるようです。日本語ガイドはいません。
営業時間: 8時~20時(冬は17時まで)
神話が蘇る!クノッソス宮殿
博物館で買ったチケットを見せて、敷地内に入ります。
立ち入り禁止区域が多いので、全体像を把握するのは難しいです。
観光で見られる主な見どころはこんな感じ。
歩いていくと、最初に見えてくるのは南門(South Propylaeum)。
クノッソス宮殿の壁画は全てレプリカで、本物は考古学博物館に保管されていました。
先に進むと、壁画のレプリカを集めた部屋があります。
有名な牛跳び(Bull-leaping)の壁画。
ミノアで実際に行われていた技のようです。
こっちが博物館にある本物。
中庭(Central Court)にやって来ました。ここでは様々な儀式が行われていたようです。
階段横にある、王座の部屋(Trone Room)。ギリシャ神話の動物、グリフィンが描かれていました。
反対側には大階段(Grand Staircase)があります。中には入れないので、上から横から覗いてみました。
こうやって見てみると、複雑な造りだったのがなんとなくわかります。
黒い柱の部屋にやって来ました。
王の間です。王が暮らしてた場所だと考えられています。
王の間の壁には、ミノア文明のマークになっている両刀斧(ラブリュス)の印が彫られています。ラブリュスは、迷宮“ラビリンス”の語源にもなっているそう。
王の間のすぐそばには、王妃が暮らしていたと考えられている王妃の間(Queen’s Megaron)があります。
王妃の間の壁画はイルカ。とっても可愛い!入り口が閉まっていたので、柵の隙間からなんとか撮影。
博物館にある本物。発見された壁画はごく一部のようです。ここからどうやって全貌を推測したのでしょうか。不思議。
そして1番北にあるのは、赤い牛の壁画と北口(North Entrance)。これぞクノッソス宮殿を象徴する場所です。
こちらが博物館にある本物。色が全然違いますね。4000年前はどのような色合いだったのでしょうか。気になります。
クノッソス宮殿は、ほとんどの部屋が立入禁止なのと、長い年月の中で失われた部分が多いのか、いまいち全体像が掴めませんでした。
ギリシャの夏は、20時くらいまでは日が沈みません。到着したのは17時でしたが、まだ昼間のように暑かったです。
日差しが強烈で暑いので、水、日焼け止め、帽子は必須。
訪れた時、ほぼ全ての壁画や建物が逆光になってしまいました。綺麗な写真を撮りたいなら、午前中の方が良いかもしれません。
降りた場所の向かいからバスに乗って、街に戻ります。
イラクリオンの街
街まで戻ってきました。
イラクリオンの街自体は、結構普通の都会です。正直、観光にはあまり向いてません。治安もハニアやレシムノに比べて微妙な感じ。
唯一、旧市街だけはちょっと素敵な雰囲気でした。
ここで、フローズンヨーグルトのチェーン店chillboxを発見。
ギリシャと言えばギリシャヨーグルトですが、フローズンヨーグルトも大人気。レシムノにもハニアにもchill box がありました。
幸せ。
続いて、アテネ空港にもある雑貨店Anannesiaを見つけました。ギリシャ神話などをモチーフにした雑貨がめちゃくちゃ可愛いお店です。
お土産探しをした後はディナーです。
本日もカラマリを食べたかったのですが、シーフードのタベルナが全然見つかりません。
ラムやケバブなどの肉料理屋か、バーばかり。
結局、カラマリは諦めてバー兼レストランのようなお店に入りました。
観光に便利なホテル
イラクリオンの街中には、ハニアやレシムノにあるような可愛いホテルはほとんどありません。
立地と快適さを重要視して選んだのはアクイラ・アトランティス・ホテル(Aquila Atlantis Hotel)。考古学博物館のすぐそばという好立地で、街の中心地にも歩いて行けます。
都会らしい大型ホテルです。
選んだお部屋はオーシャンビュー。実際にはハーバービューでした。朝焼けがとても綺麗。
朝食は久しぶりのビュッフェ。よくあるコンチネンタルでした。
レシムノやハニアで泊まったような可愛らしいホテルではありませんが、清潔で快適で、充分満足でした。
ギリシャ旅行記